「おーい、どこにいるのー? 一階は調べたよー」
一階ほどは広くないみたいだから、もう調べ終わっていても良いはずなのに。
昨日入った、美紗が使っている部屋をのぞき、誰もいない事を確認して隣の部屋。
それを繰り返して開いた、何個目かの部屋に……ふたりはいた。
部屋の両側に置かれた本棚には、難しそうな本がビッシリ入っていて、正面には立派な机と椅子。
その椅子に高広さんは座っていて……寝ている!
「あら、早かったわね。それで、部屋は見つかったのかしら?」
机の上に置かれた本をパラパラとめくりながら、チラリとこちらを見た美紗が尋ねた。
「いやいや、あんたら何やってんのよ? 部屋を探してたんじゃないの? 高広さんなんて寝てるし」
私達は頑張って謎の部屋を探してたって言うのに……。
「良く考えてほしいわね。二階に隠し部屋なんて作れるスペースがあると思う? この父親の書斎……何かしらヒントがあるとすれば、ここだと思って調べ物をしてたの」
「そういう事は早く言えっての! 何のために高広さんを連れて来たのよ!」
「手伝ってもらおうと思ったんだけど……まさか寝るとは思わなかったわ」