「何の匂いよこれ。カビ? 中も汚いし、使ってない物を押し込んだ感じだね」
小さな細長い倉庫で、壁際には室内を囲むように棚が設置されている。
「あー、パスパス。こんな所にあるはずないよ。ほこりっぽいし出よ」
どこかで嗅いだと思ったら、おばあちゃんの部屋の匂いに似てて、あまり長居はしたくない。
「でもよ、もう部屋がないぜ? 壁にかかってるライトを動かしたら、隠し扉がガーッと開くとかじゃねぇの?」
うっ!
私と同じ発想してる!
つまり、私と龍平は同じレベルだって事!?
「ないわ……それはないわー」
「ん? そうか? さすがにそれはないか」
でも、本当に隠された部屋があるって言うなら、そんな仕かけがあってもおかしくないと思うんだけどなあ。
とりあえず調べた事を美紗に報告して、どうするか考えた方が良いかな。
そう考えて倉庫を出た私は、ドアを閉めて二階に向かった。
コツコツと靴を鳴らしながら階段を上り、二階に到着した私達は美紗と高広さんを探した。