あゆみが指差したのは、廊下の左側。


突き当たりで曲がっている廊下の先に何があるか分からないから、少し好奇心をそそられる。


龍平を先頭に、その角を曲がると……ドアがひとつだけ。


「もしかして、これが美紗の探してる部屋だったりして……」


「そんなわけないでしょ。こんな分かりやすい場所を見落とすはずがないよ」


それもそうか。


美紗が見つからないって言ってるくらいだから、分かりにくい場所にあるんだろうな。


「じゃあ、ここは何の部屋だ? とりあえず開けてみるぞ」


言うよりも早く龍平が、そのドアを開けた。


フワッと、どこかで嗅いだ事のある匂いが漂って来て……。


その部屋が何なのか理解した。


「……トイレだね。かなりきれいだけど、ここにはなさそう」


期待した分、落胆は大きい。


フウッと溜め息を吐いて、私達はトイレを後にした。


その後も風呂場や各部屋、温室なんかも調べたけど、それらしい部屋はまったく見当たらない。


残るは階段の横にある倉庫だけだけど……ここだけなぜか薄汚れてて暗いから後回しにした所だ。


中に入ってみると、なんとも言いがたい匂いが立ち込めている。