世界が変わるなんて信じていないから。
でも、あゆみは、昨日美紗に話を聞いて、もしかするとそうかもしれないと思ってるんだろうな。
こんな事だったら、もっと早く話せば良かったな。
私ひとりで考えて、健司をどうするなんて悩んでてさ。
「この部屋は関係ないみたいだよな。隣の部屋に行こうぜ」
私達が入って来たとは別の入り口を龍平が指差す。
「そうだよね、まさかこの部屋に隠し部屋があるとは思えないしさ」
暖炉の上に置かれていた高そうな時計を元に戻し、廊下に出た私は、その正面にあるドアを開けた。
この家の中全部に言えることだけど、誰もいないはずなのに妙に生活感に溢れている。
その部屋はキッチンだったけど、今にもお手伝いさんが現れて、料理を始めそうな気配がある。
「ここには……なさそうだけど見てみようか。ところでさ、昨日の夜カラダ見つけた? 私はひとつ、自分の見つけたんだけど」
キッチンに入り、きれいに整理された調理器具を手に取りながら尋ねる。