元の世界ではふたりはいなくて、この世界だから生きているなんて言ったらどう思うかな。


……あたしはバカだから分からない。


「健司は……この世界が良いんだって。だから、カラダがどこにあるか教えなくてさ。犠牲になる人を自分で決めようとしてるんだ」


「何よそれ! もしかすると私が死ぬかもしれないって事!? 健司は誰を犠牲にしようとしてるわけ!? 最悪じゃん、あいつ!」


真っ先に声を上げたのはあゆみ。


そりゃそうだよね。


同じ事を考えていたとは言え、カラダがどこにあったかを教えないって言われた時は、私も怒ったもん。


「じゃあ、意地でもカラダを集めないとな。あんな奴に負けてられるかっての!」


龍平も健司に対して怒っているみたいだけど。


ダメだ、こんな大事な事を黙っていられない。


「あ、あのさ……美紗から聞いたんだけど。元の世界になったらさ……あゆみも龍平も、いなくなるみたいなんだ」


私の言葉に、龍平は目を細めてポカンと口を開けた。


「いないって……どういう事だ? なんか、話が訳分かんねぇけど」