「おう、何を手伝うのかしらねぇけど、困ってんなら助けてやるぞ」
私も高広さんも、もしかして美紗に乗せられた?
否定されたはずなのに、クスクスと笑う美紗を見て、そう思わずにはいられなかった。
何時頃に美紗の家に行こうかと考えていたら「早い方が良いわ。今すぐ行きましょう」なんて言うから、私はあゆみにメールを送って、3人で移動を始めた。
まだ降りやまない雨の中、ふたつの傘で。
「てかさ、なんであんた、高広さんの傘に入ってんのよ? 普通私の傘に入るでしょ!?」
さも当然のような顔で、堂々と高広さんと相合い傘をする美紗に、少しイラッとしながら私は言った。
「あら、柊さんのビニール傘じゃあ小さくて、家に着くまでにずぶ濡れになってしまうわ。大きい傘に入るのは当然じゃない」
美紗は微笑んでそう言うけど……いや、あんたもうすでにずぶ濡れだからね?
だったらどこにいても同じじゃないの?
「別にどっちでも良いじゃねぇか。家に着くまでの事だろ? 留美子は妙なところで細かいんだよ。普段はズボラなくせによ」
な、何よ何よ、高広さんまで!
鈍感の塊みたいなあんたに言われたくないっての!