「待て、そこに……誰かいる」


健司が指差した先には、暗くて分からないけど、誰かが立っている。


「さっきは……いなかったよね?」


私、こういう怪奇現象みたいなのに弱いんだけど……まさか幽霊じゃないよね?


そんな事を考えている間にも、その人影はこちらの方に近づいて来ていた。


「あれ? 留美子、あの人ってもしかして……」


「あ! そうだよ。ほら、今日校門の所にいたきれいな女の子……」


美雪とあゆみが言うように、生徒玄関の方から歩いて来たのは……確かにあの女の子。


「おいおい、マジかよ! とびっきりの美少女じゃねぇか!」


おいおい、マジかよ龍平。


あんた、あゆみにアプローチかけてたんじゃないの?


まあ、私にはどうでも良い事なんだけど。


「ようこそ、魂の牢獄へ。ここは呪いの力で作られた、生と死の狭間の世界」


私達を見渡して、淡々とそう話し始める少女。


悪いけど、私には何を言っているかさっぱり分からない。


「美雪、日本語に訳してくれない?」


「いや、日本語だよ……これ。後で教えてあげるよ」