やっぱ、迷った時は別の物だよね。


店員から肉まんを受け取り、精算を済ませた私は高広さんのところに戻った。


まだ本のコーナーにいるから、雑誌でも読んでるのかな。


「ねぇねぇ、高広さんは今暇なの?」


そう尋ねながら高広さんに近寄った時、私は気付いてしまった。









……ふたりが、まだ見つめ合っている事に。










「あんたらまだ何してんのよ! キモッ! キモいわ!」


「お、おぉ? いやよ、あいつが俺を見たままだからよ。そらしたら負けかなと思って」


そんなの女子と勝負するなよ!


外に目をやると、さっきよりも雨に濡れている小野山美紗が、笑みを浮かべて立っていた。


私は、高広さんを押して店の外に出た。


ガラス一枚挟んで見てないで、何か思うところがあるのなら、直接話してみれば良いと思って。


雨の降る中、傘も持たずに立っていた美紗は制服からも雫が垂れるほど濡れていて、見た目にも寒そうだ。


「ちょっとあんた、雨宿りくらいしなさいよね。傘はどうしたのよ? まさかこの雨の中、傘を持って来てないんじゃないでしょうね?」


「……傘なんて持ってないわ。それに、濡れても私は平気だから」