「おかしい、間違いなくおかしいぜこりゃあ」


辺りをキョロキョロと見回して、不思議そうに呟く龍平。


いや、おかしいのは皆分かってるし、どうしてこうなったのか調べようとしてるんじゃない。


「……皆、死んだんだよね? だとしたら、ここは本当に天国なのかも」


「美雪、冗談はやめてよ。こんなとこが天国だなんて、死んでも勉強しろって事? ねぇ、留美子」


いきなり私に振らないでよ。


それじゃあまるで、私が勉強嫌いみたいじゃない。


まあ、確かに嫌いなんだけどさ。


「でもさ、ここがどこかは知らないけど、帰る道ないの? 校門出て、普通に帰れないかな?」


どうも、自分が死んだなんて思えないんだよね。


気付いたら制服姿だし、夜風が肌に当たって寒いって感じるし。


普通に生きてんじゃない?


「おお、そうだな。ここが学校っつー事は、家に帰れるって事だろ。早く帰ろうぜ」


と、龍平が校門に向かって歩き出そうとした時だった。


今まであまりしゃべらなかった健司が、何かに気付いたのか、生徒玄関を指差して小さく呟いたのだ。