「赤い人も来ねぇし、探すなら今だってのにな。全然見つからねぇじゃねぇか」
「確かにイラつくよね。もしかすると、ひとつ見つけたら連続で見つかるかもよ?」
そんな事を言いながら、教室のドアを開けた私は、その室内の空気の悪さに思わず鼻と口を手でふさいだ。
何これ……すごくほこりっぽくて、まともに息をするのが辛い。
歩いただけでフワッとほこりが舞い上がって、どれだけ掃除していないんだと思ってしまう。
おまけに、部屋の中の物に白い布がかけられていて、ここを全部調べるのは手間がかかりそうだ。
「り、龍平。あんたが調べてよ……私はパス。この部屋、ほこりっぽくてさ」
「お前なぁ、そんな事言ってる余裕なんてないんだぞ? まあ、条件次第ではやってやるけどよ」
はぁ? こんな時に私と取り引きしようっての?
龍平のくせに良い度胸じゃない!
……と、思いはしたけど、こんな部屋を調べるのは嫌だ。
何を言うのか気になるけど、ここは龍平に任せてしまおう。
「んー、何よ? 条件って。言うだけ言ってみたら?」
こんなほこりっぽい部屋からは、早く移動したい。