どうして龍平はこんなに前向きに考えられるんだか。
女だったら誰でも良いのかこいつは。
「ところでよ、美紗ちゃんはなんだって俺達にこんな事をさせてるんだ? それが分からねぇんだよな」
隣の教室に入って、室内を見回しながら龍平が呟く。
このカラダ探しをしているメンバーのうち、小野山美紗の本当の理由を知っているのは、恐らく私とあゆみだけ。
「明日、あの子の家に行った時に詳しく聞けば? まあ、ひとつだけ言える事は……あの子は敵じゃないって事かな?」
完全に信用したわけじゃない。
でも、本来なら死ぬはずだった私達を、カラダ探しをさせる事で助けた。
小野山美紗には目的があって私達を助けたみたいだけど、ついででも利用していたとしても良い。
今は、カラダを探す事が先だ。
赤い人の移動を告げる校内放送が流れないまま、私達は生産棟一階の西側、最後の部屋に入ろうとしていた。
ふたつの教室とトイレを調べ終わり、それでも見つからないカラダを探して。