「だったら、私はお城に住んでなきゃおかしいんじゃない? まあ、ある意味豪邸ではあったけどさ」
その言葉に反応して、龍平が驚いた様子で私を見る。
「お、お前なあ……自分でそんな事言って、恥ずかしくないのか?」
「う、うるさい! あんた、私が可愛くないって言いたいわけ!? 口だけじゃなくて手も動かしなさいよ!」
なんて……美雪みたいな事を言ってしまった。
考えてみればそうだよね。
人それぞれの探すスピードや方法があるから、私から見れば真面目にやってないように見えるかもしれないけど、たぶん龍平は龍平なりに真面目なんだろう。
「い、いや……留美子はまあ、可愛いよ」
そんなの、改めて言わなくても分かってるっての。
やっぱりこいつは真面目に探してないのかもしれない。
「あー、こんなに不気味な部屋なのに何もないか。龍平、次の部屋に行くよ」
美術室を調べ終わって、フウッと溜め息を吐いた私は、部屋の入り口に向かって歩いた。
まあ、詳しくどこに行くか言わなくても、龍平は私の後を犬みたいに付いて来るだろうから。