「まだ何も見つけてねぇけどよ、教えてくれないってなんだよ? そんな事する必要なんかねぇだろ?」
あ、そうだ……こいつはまだ何も知らなかったんだ。
このまま黙ってても、すぐに分かる事だよね。
だったら、今のうちに言った方が良いのか……。
「詳しい話を知りたかったら、明日小野山美紗の家に行くから付いて来なよ。そしたら分かるからさ」
いろんな事を考えると、私からは言えなかった。
今日のうちに健司のカラダを見つけて、私のカラダと取引できるかもしれない可能性を考えると、事を荒立てたくなかったから。
とりあえず一番近くの教室、美術室に入った私達は、室内を見渡してカラダを探した。
この部屋はどうも苦手だ。
美術の時間に一度も使った事のない、誰だか分からないような人の顔の石膏像がたくさんあって不気味だから。
「なあなあ、美紗ちゃんの家ってどんななんだ? あれだけ美人なんだから、すごい豪邸に住んでるんだろ?」
こいつの頭の中はいったいどうなってんだか。
なんで美人だったら豪邸なのよ。