赤い人が近くにいないか、耳を澄まして確認して、私は教室を出た。
「あー……ったく。健司に見られるくらいなら、ダサい綿パンでもはいとけば良かった。お前に見せるためにはいてたわけじゃないっての」
思い出しただけでも腹が立つ。
とはいえ、大きな声を出すわけにもいかないから小さな声で。
西棟と生産棟をつなぐ渡り廊下を歩きながら、私はどこから調べようか考えていた。
赤い人は玄関前ホールのガラスを割って校舎に入ったわけだから、単純に考えれば一階にいるよね。
「決定、生産棟の三階!」
生産棟に入ってすぐにある階段まで小走りで移動して、あの奇妙な音が聞こえない事を確認して階段を上がる。
ひとりでカラダを探すのは何だか心細いな。
誰か一緒に探してくれたら良いんだけど。
まだまだカラダはたくさん残っているから、健司の事を考えるとまとまって探した方が絶対良いよね。
そんな事を考えて、階段の最後の一段を踏み締めたその時だった。
タッタッタッタ……。
階段の下から、誰かが走ってくるような足音が聞こえた。