靴を履いているようなこの音は、赤い人ではないけど……いったい誰なんだろう?
「誰かいるの? いたら返事して」
ドアを少し開け、小さな声で廊下に向かって呼びかける。
今ので気付いたかな?
まあ、気付かなければそれでも良いけど。
今日は、美雪を連れてすぐに東棟に向かったから、他の3人がどこに向かったかがわからない。
誰でも良いから、教室を調べるのを手伝ってほしいな。
そんな事を考えていると、ゆっくりと教室のドアが開き、黒い人影が室内に入って来たのだ。
携帯電話を向けて、その人影を確認すると……。
「なんだ、ここにいたのか」
私を見下ろすようにして、健司がそこにいたのだ。
「なんだじゃないっての。あんたこそ、なんでここに……」
赤い人に怯える私とは違って、やけに堂々としているその姿に、私は何だか気味の悪いものを感じた。
あの小野山美紗にさえ感じないような、不気味なものを。
「なんでって、カラダを探してるからに決まってるだろ? 留美子はどうなんだ、カラダを見つけたのか?」