そう考えると、少し希望が見えてきた。


私は窓の外側から見られないように廊下に腹這いになり、図書室前の廊下を渡って東棟に向かう事にした。


しかし、伏せた瞬間感じる股の不快感。
「あ……漏らしてたんだ。パンツがペトペトして気持ち悪い……」


もう泣きたい気分だ。


それでも、赤い人に見つかって殺されてしまうよりはマシ。


私は窓の外のどこかにいる赤い人に見つからないように、這って東棟へと向かった。


ゆっくりと、腕を使って少しずつ移動する。


赤い人に気付かれたら、きっとすぐにやって来るから、絶対に気付かれるわけにはいかない。


何で中庭なんかに現れるのよ……これじゃあ、普通に廊下に現れてくれた方が何倍も良いっての。


まさか廊下の隅を這う事になるとは思わなかった。


赤い人がまだ中庭にいるって事は、まだ誰も赤い人に見つかってないって事。


どの辺りにいるか、振り返る事ができなくなるのを覚悟で確認してみようかな?


そんな事を考えて、窓の方を見ようと上体を起こそうとした時だった。


バンッ! という音と共に、私の上にある窓がビリビリと震えたのだ。