窓の外側……二階だというのに、そこには小さな赤い足跡が、規則正しく下から上に付けられていたのだ。
それを目にした瞬間、私は反射的に柱の陰に身を隠した。
そうだった……赤い人は壁でも天井でも平気で歩くんだ。
つまり……中庭に面した教室や廊下はすべてが危険地帯。
中庭よりも南側にいる私は、移動する事もままならない状況に置かれたのだ。
「中庭に現れたって……今どこの壁に張り付いてるのよ」
柱の陰に隠れながら、どうにも身動きが取れなくなった私は、必死に考えていた。
ここはちょうど図書室前の廊下と、西棟の廊下が交差している。
助かる可能性があるとすれば、中庭に面している西棟の長い廊下を移動するより、図書室前の廊下を通って東棟を移動した方が見つかる可能性は低い。
「うぅ……なんでこんな時にひとりなのよ。誰か助けて……」
西棟の二階を調べ始めて二日目なのに、まだ一部屋とトイレだけしか調べられていないなんて。
ん? でも、よく考えたらそれってすごくない?
私が調べた部屋にカラダがあるんだから。
この様子だと、適当に入った部屋にもカラダが隠されてそうなんだけど。