それが不安でたまらなかった。


小野山美紗が去り、男子トイレを調べ終わった私は、隣の女子トイレに身を滑らせた。


赤い人がこっちに来ている気配はないけど……油断はできない。


何せ、校内放送が流れれば瞬時に場所を移動するわけだから。


「トイレなんて汚い場所から早く離れたいもんだわ。さっさと調べようかね」


無言でいると怖くなるから、そんな事を呟きながら携帯電話の光をトイレの中に向ける。


一番奥の個室から入念に、隅々まで調べて真ん中の個室。


まだ20個以上カラダは残ってるはずなのに、なかなかヒットしないな。


そんな事を考えて開いた一番手前の個室のドア。


携帯電話の光を便器に向けた私は、心臓がドクンと音を立てたのが分かった。













和式便器の中……。


何かをつかもうと伸ばしているかのように、白く細い左腕が立っていたのだ。


「マジで……こんな所に。てか、誰の腕よ……悲惨だわ。よりによって便器の中にあるなんて」


この指の細さは、どう見ても女子だね。