そんな私の剣幕に押されたのか、口をへの字に曲げたままだけど、ゆっくりと美雪は階段の方に歩き始めた。
良かった、これでカラダがまたひとつ元に戻る。
いや、何より、龍平にイタズラされなくなる事に安心したかもしれない。
美雪と一緒に階段を上り、三階へと向かう。
昨日の事を引きずっているのか、あれから私と一言も話してくれない。
「美雪の胸は、龍平が見つけたんだよね。で、本人以外は動かせないからそのままってわけよ」
何とかして話をしようとするけど、美雪の口からは一言も発せられない。
おかしいな……他の友達なら、私が話しかけたら返事くらいしてくれるのに。
それで、喧嘩をしてた事があやふやになって、元に戻るのに。
手強い美雪は私の思い通りにはならず、東棟の三階に到着しても無言を貫いたまま。
「さ、さて。龍平なんかが見つけられるくらいだからね。分かりやすい場所に置かれてるんだよ、きっと」
話してくれない美雪に、泣きそうになりながらも、私がそう言った時だった。