そんな目で助けを求められても、私も震えて動けない。
握った赤い人の手が冷たくて、すぐにでも離したいのに、なぜか手が固まっているようで動けなかった。
そして……いつの間にかそこにあった違和感が、あゆみの恐怖の元凶だと知った時、私の背筋は凍り付いた。
「あゆみ! そんなの離しなよ!」
精一杯振り絞って出した声。
泣きながら赤い人の手を握り、いつの間にかぬいぐるみを抱いていたあゆみの耳に届いたのか。
どうやら、その声が聞こえていても、聞こえていなくても同じだったようで。
「……どうしてまだ生きてる」
小さな少女の、怒りに満ちたその呟きの直後、あゆみの手から赤い手がスルリと抜けて……素早く振り上げられたのだ。
その手が、次はどんな動きをするのかと、息を飲んで見ている事しかできない。
すがり付くように握り締める赤い人の小さな手。
できる事なら殺さないでと、心の中で懇願していたけれど……それは私の目の前で起こった。
「あ……何これ……首が」