「そりゃああるけど……でも知らないぬいぐるみなんて……」


そう言いながら上体を起こした私は……我が目を疑った。












『私の部屋にあるの! あのぬいぐるみが!』











美雪だけじゃない……私の目の前にある机の上に、ゴミ捨て場で見たうさぎのぬいぐるみが置かれていて、私を見つめていたのだ。


私の目の前にある、このぬいぐるみがゴミ捨て場にあったものなら、美雪が見ている物は何なのだろう……。


「は……はは。美雪、わ、私の目の前にもあのぬいぐるみがあるんだけど……」


『やっぱりおかしいよ! 私の目の前にもあるんだよ!?』


そんな事言われたって……とにかく、結子さんが言っていた通りなら、すぐに捨てないと!


「どうでも良いよ! まずはぬいぐるみを捨てよう!」


言うより早く、私はぬいぐるみの耳をつかみ、ガラリと開けた窓から外に向かって放り投げた。


そして窓を閉め、カーテンも締めると向きを変え、壁にもたれるように座り込んで、とりあえず安堵の吐息を漏らした。


「ふぅ……とりあえず捨てたよ。これでいいんだよね?」