しばらく経って、注文した料理が届き、小野山美紗に案内されるままにそれをダイニングルームに運んだ私達。
席に着くと、真っ先に料理に手を出したのは……小野山美紗だった。
「お、小野山さん。見事な食べっぷりだね……」
自分の前に、チャーハンを引き寄せながら、その男子顔負けのがっつきっぷりに、驚きを隠せない様子のあゆみ。
「イメージ変わるわぁ。あんたはもっとさ、お上品にご飯を食べるかと思ったけど。『柊さん。お皿をカチャカチャいわせて食べないで』とか……って、ちょっと! それ私のエビチリ!」
どれだけ食べるんだこの子は!
あっという間にチャーハン、麻婆豆腐、回鍋肉辺りを食べ尽くしたと思ったら、私のエビチリにまで手を伸ばしてきた!
「あゆみ、早く食べないと取られちゃうよ!」
「う、うん!」
小野山美紗の食欲に圧倒されながらも、自分が注文した料理だけは死守しようと必死になる私達。
料理を食べている間は、小野山美紗に取られまいと必死だったから気付かなかったけど……。
この部屋は、何か妙だった。