窓の外のカラリと晴れた空を見ていたら、いつまでもこの家にいても仕方がないと思ったから。
「あら、雨はやんではいないわよ? むしろ、土砂降りになってて、傘なしでは確実に下着までずぶ濡れになるわね」
あー……忘れてた。
この窓は今の景色を映してるんじゃなかったよ。
「えー、マジで? あゆみ、どうする?」
「帰れないんじゃどうしようもないよね。お兄ちゃんに迎えに来てもらおうかな? 小野山さん、傘を借りる事はできないかな?」
「無理ね。傘なんてこの家にはないわ」
そんな堂々と言わなくても……。
まあ、明日は土曜日だし、学校も休み。
少しくらい遅くなっても大丈夫だろうけど……あの時間はやって来る。
赤い人が、カラダ探しの前に私達を殺しに来るいつもの時間が。
でも待てよ?
小野山美紗がいたら、赤い人に殺されなかったり……するのかな?
殺されないなら、その方が断然良いんだけど、同じ一族の人間だという事を考えると、期待して良いのか分からなかった。
どうしたものか。
この家に来たは良いけど、帰る事が難しい状況に陥り始めていた。