まあ、激しく「なし」だよね。
明らかに怪しくて危険な場所に、行きたいわけがないでしょ。
「あら、父親はこの家で魔術を行っていたのよ?」
「マジで? 嘘でしょ?」
小野山美紗の発言に驚いてしまい、間抜けな言葉を返してしまった。
「あれ? でも、それってこの世界の話なの? 話がごちゃごちゃし出して訳が分からなくなってきた……」
どの話がこの世界で起こっている事か、違う世界の事なのか……。
むしろ、違う世界とか平気で考えている自分がキモい。
「世界がどうだなんて、考える必要はないわ。魔術が世界をつないでいる鍵なの。赤い人を生み出した根源がね。だから、魔術はこの世界にも存在する」
相変わらず私の期待をことごとく打ち砕いてくれるのね。
できるなら何もせずに、カラダ探しだけ終わらせたいのにさ。
魔術が存在する、そしてその場所はこの家だとすると……。
やっぱり見てみたいと思うよね?
面倒くさがりなのに好奇心は旺盛な自分が、ちょっと嫌になりそうだった。
「とりあえず雨も上がったみたいだし、帰ろうか」
ここにいると、魔術の事が気になってしまいそうな気がするし。