「分かってもらえて何よりね。だからと言って、あなた達がカラダ探しから逃れられるわけではないのだけど」


窓際にある、木製の椅子に腰かけて、物悲しそうな表情で外の景色を眺めている小野山美紗。


何だろう?


妙な違和感がある。


小野山美紗の言動に敵意を感じないと言えば良いのかな?


初めて会った時の、高圧的な雰囲気なんて感じられない。


日に日に弱々しくなって行くようで、放っておけない。


まるで、高校デビューに失敗して意気 消沈してしまっているみじめな学生みたいだ。


「……なんて、私にはこんな事を言う資格もないのだけれど。あなた達に託すしかないのよ」


そう言った後、小さく口を動かしていた小野山美紗。


ずいぶん弱気な発言だけど、その後の口の動きの方が私は気になった。


小さく……。









『もう限界……』










そう言っているような気がして。


小野山美紗の弱い部分を見たような気がする。


良く良く考えてみれば、今日の朝まで会話もほとんどしなかったし、この子の事なんて何も知らない。


それなのに、今はこうして家にまで行って、話をしているのが不思議でならない。


まあ、友達を作る時なんてこんな感じなんだけど。