その感覚がまったく分からない。
死んだ人を生き返らせるなんて……子供を失ったら、そんな風に思ってしまうのかな?
「だけど母親が、美子とお腹の中の赤ちゃんの死で、少しずつおかしくなり始めて……父親は、魔術を途中で放り出してしまったの」
この話、なんか嫌な予感がするな。
それって、こっくりさんを途中でやめて、変なものに取り憑かれたとかいう話と同じじゃないの?
「その末路は……美子の魂が闇に飲まれて、その力の矛先は姉の美紀に向いて、美紀が取り殺されたの。父親と母親は、すぐにこの家を出たわ。魔術を終わらせないままにね」
何だか良く分からないな。
まあ、この家の事もまったく分からないんだけど。
辺りを見回して、豪華そうなベッドをさすり、私はゆっくりとそこに腰を下ろした。
「でもさ、魔術が途中だったなら、それで終わりなんじゃないの? どうして赤い人なんて化物になったわけ? それに、お腹の中の赤ちゃんが死んだって言ったけど、あんたのお父さんは生まれたんでしょ?」