だけど、あゆみには言われたくないよね。


あんたも分かっていないでしょうが。


「まあ、この家が不思議なんだってのは分かったよ。で? 赤い人が生まれたのは父親のせい? 変な魔術とかが成功しちゃったから?」


もしも本当にそんなモノがあるのならば見てみたい。


私だって小さい頃、他の子と同じように魔法少女に憧れたんだから。


「いえ……失敗したのよ。と言うより、途中でやめてしまったから、美子の暴走が始まったの」


少し悲しそうに、小野山美紗は答えた。


魔術の失敗から、赤い人が生まれた……。


小野山美紗に出会わなければ、そんな突拍子もない話を信じる事なんてできなかったけど、今なら何だって信じてしまいそう。


「魔術が失敗したってどういう事? 私、そういう話はうといから分からないんだけど……留美子は分かる?」


「分かるわけないでしょ。そもそも魔術なんて、聞いただけで怪しいじゃない」


私とあゆみの話に、笑みを浮かべて小野山美紗は続きを語り出した。


「美子は自分が死んだ事に気付いていなかったの。だから、この家に彼女の魂はいたし、父親も魔術が成功すれば美子を生き返らせると信じていたの」