「はい、留美子の悪い癖。やるなら自分でやりなよ。私は絶対に嫌だからね」
ひとつ目の部屋を指差した私の前を、首を横に振り、通り過ぎるあゆみ。
……こんな状況で、私だけ部屋をのぞくってのは怖いよ、うん。
それに、小野山美紗が話そうとしていた父親の話も気になるし。
カラダ探しを終わらせる事に、それがどんな役に立つかは分からないけど、赤い人がどうやって生まれたのかは興味が湧いていた。
小野山美紗の部屋に入ると、私はさらに奇妙な感覚に襲われた。
この家に入った時から感じてはいた事だったけど、さらにそれが顕著に現れていたから。
「ねぇねぇ、どうなってるのこれ? さっきまで雨が降ってたのに、ここから見える景色は……」
窓の外の景色は、雨なんて降ってもいない。
それどころかスカッと晴れ渡って、太陽が真上から照り付けているようだった。
「そうね、私も不思議だと思うわ。ここだけじゃなく、他の部屋から見える景色も、それぞれ違うわ。強く印象付ける何かがあったのかしら?」
「はぁ~……小野山さんが分からないなら、留美子に分かるわけないよね」
確かにその通りだとは思うよ、うん。