「私もそう思うけどさ、なんか重要そうな話をしそうじゃない? 聞いておかないとダメな気がする」
私がそう言うと、あゆみは何も言わずに、少しふてくされたような表情を浮かべて後を付いてきた。
「父親は、死んだ美子をどうにかして生き返らせようとしたわ。いかがわしい魔術や妙な術の書物なんかを読みあさってね」
死んだ美子を生き返らせる……。
そんなマンガみたいな事が本当にできるはずがないのに、父親はやろうとしたのかな?
階段を上り、二階に着いて右の通路に入った小野山美紗は、右側ふたつ目の部屋のドアを開けた。
誰かが一緒に住んでいる気配はないし、ひとりで住んでいるなら、どうしてひとつ目の部屋にしなかったんだろ?
まあ、私にはどうでも良い事なんだけど。
「ああ、その部屋はダメよ。そこは美子の部屋……私だってあまり中に入った事がないんだから」
クスクスと笑いながら、ふたつ目の部屋に入って行く小野山美紗。
「あゆみ、赤い人の部屋だってさ。入ってみたら?」
ダメと言われると、ついついやりたくなるんだよね。
でも、私はひどい目に遭いたくないから、他の人にやってもらうけど。