「とにかく行ってみようか。ちょっと怖いけどさ……」
この家に何か秘密があるなんて考えてはいないけど、小野山美紗の秘密を探る事ができるかもしれないから。
「ようこそ、私の家に」
表面がボロボロに朽ちた、玄関のドアを開けた小野山美紗に促されて入った廃屋の中。
その屋内を見て、私とあゆみは驚きで声を出す事もできなかった。
「早く中に入ってくれないかしら? 雨で濡れた制服を乾かしたいんだけど」
背後からかけられた声にさらに驚いて、慌てて小野山美紗を屋内に通した。
何が驚いたって……こんなボロボロの廃屋なのに、家の中はきれいな内装。
まるで、建てられてすぐの家みたいで、古い感じはまったくしなかったから。
「ちょっとあんた、なによこれ……外と中が全然違うじゃない! どうなってんのよ」
私達を置き去りにして、玄関ホールにある階段を上り始めた小野山美紗に尋ねる。
変な事を聞いているのは分かってる。
あの子が起こしたいろんな不思議な力を考えれば、こんな事は当たり前なのかもしれないけど。
「私は何もしていないわ。この家がこの姿を望んだだけよ」
うーん、何を言ってるかさっぱり分からない。