走ること5分、私達は制服を濡らしながら目的の場所、小野山美紗の家に着いた。


鬱蒼と茂った雑草をかき分けた先に現れたのは……私の想像をはるかに超える、不気味な廃屋だった。


「うえぇ……嘘でしょ? こんな所に住んでるの?」


なんと言うか……こんな所、人が住めるような場所じゃないよね?


建物自体は立派な洋館なんだけど、ガラスが割れた窓には板が打ち付けられていて、壁も所々崩れ落ちている。


「あら、寝泊まりするだけなら、こんな家でも問題ないわ」


そう呟いて、家の方に向かって歩き始める小野山美紗。


なんか、イメージから外れていないところが逆に怖い。


これがものすごい豪邸とかだと、幻滅していたかもしれない。


「留美子、本当にここに入るの? なんかヤバいんじゃない?」


私の制服の袖をつかんで、怯えている様子のあゆみ。


確かに何か不気味な雰囲気はあるけど……何だろう?


前にもここに来たような気がするんだけど……気のせいだよね?