あゆみはどうして良いか分からないと言った様子でオロオロしていたけど、龍平の行動を話せば間違いなく怒るだろう。


そうなれば、龍平を犠牲にする方向に持っていきやすいかなと、ふと思い付いた。








昼休みが終わり、午後の授業が始まった時、私はささいな異変に気付いた。


いや、異変と呼べるのかどうかも分からないけど、かすかな違和感というか……。


窓の外、朝からずっと雨が降り続いているのに、ベランダの手すりがまったく濡れていないのだ。


(おかしいな……雨粒がひとつもないなんて。変な感じ)


カラダ探しなんて、一番変な事をやってる私には、本当にどうでも良いささいな事に感じる。


何なら今、雪が降ったとしても驚かないだろう。


これもあいつの仕業なのかなと、チラリと龍平の隣の席に視線を向けた。


体調が良くなったのか、いつの間にか授業に戻っている小野山美紗。


これも全部あいつがやってる事なのかな?


なんて、考えながら窓の外を眺めている私は、この時はまだ分かっていなかった。


この日常が、ゆるやかに壊れ始めているという事に。


そして、その理由が何かという事にも。