「お兄ちゃんを……うーん」


あゆみには難しい質問だよね。


お互いに溺愛し切っている気持ち悪い兄妹なんだから、きっと自分の命のように考えてるんだろうな。


「私なら……お兄ちゃんが死なない方が良いかな。結子さんとの結婚もあるし、幸せになってほしいよ」


……質問を間違えたかもしれない。


大好きなお兄ちゃんのために、あゆみが犠牲になるのは当然の答えだったかな。


「じゃ、じゃあさ、武司さんじゃなくて健司だったらどうよ?」


「そんなの私が死ぬ意味ないじゃない」


だ、だよねー。


あゆみの中ではお兄ちゃんが第一で、それ以外の順位は低いよね。


分かってたはずなのに、いざその答えを聞いてしまうとガッカリしてしまう。


「まあ……そうだよね。あゆみはそういうやつだ。うん」


「あーっ! 何よそれ! 私が薄情だって言うの!?」


「違うよ。それが当たり前だって事。誰だって、自分が死んでまで人を助けたくはないよね」


自分の口でその言葉を発しても、何か納得できない。


どうにかして皆が助かって、この世界で生き続ける事ができないかと、出るはずのない答えを考えていた。


あゆみの気持ちは分かった。


後のふたりはどう思ってるんだろう?