「なになに? 『留美子ちゃんへ。デートに行ってきます。帰らないかもしれないから、戸締まりして寝ててね』……はぁ」


何がデートに行ってきますよ!


私には男がいないってのに、どうしてママは男が途切れないのよ!


「あー、マジムカつくわ」


ママは16歳で私を産んで、現在33歳。


私ほどじゃないにしても、それなりに美人だと思うし、モテるのは分かるけど。


愛する娘を放置するのはどうかと思うね。


「はぁ……ママがいない時、家事は全部私がやってるんだからさ、オバサンじみても仕方ないよね」


誰に同意を求めたわけじゃないけど、独り言も小言も多くなってしまう。


お弁当箱をバッグから出して洗い、コンビニ弁当をレンジアップして、それをひとり寂しく食べる。


大好きなエビフライ弁当だった事が、唯一の救いだと自分に言い聞かせながら、別に見たくもないニュース番組を見て。


こんな事なら、皆と晩ご飯を食べれば良かったなと後悔した。


お風呂を済ませ、部屋に戻った私は、スウェットに着替えてベッドに横になっていた。


ママに対する軽い怒りと、滑稽な龍平の姿を思い出しながら。