(健司は何を聞いて小野山美紗の話を信じたんだっけ? いきなり態度が変わると不気味だよね)


50年以上も前の話って言ってたよね。


……その時に何があったんだろう?


ま、私なんかが悩んでも答えなんて出ないよね。


そんな事を思って、黒い空を見つめていた時、制服のポケットの中にある、携帯電話が震えた。


ん? メール?


先生に見つからないようにと、机の陰に隠して携帯電話を操作すると……送信者はあゆみ。


『今日どうしたの? 何か、皆変だよ? 特に留美子と健司はね! 何かあったなら、私にも教えてよね!』


……だよねぇ。


普通気になるよね。


特に、健司が怒鳴ってまで聞かれたくない話となると。


健司は皆に言うなって言ってたけど、言うなら早い方が良いよね。


そうは思っていても、私はあの内容をあゆみに返信する事ができなかった。


あれからずっと悩み続けて、もう昼休み。


窓の外を見ながらお弁当を食べていると、いつもなら話をする私と健司がひとりでいる事を不思議に思ったのか、あゆみが私の顔をのぞき込むように机の前に屈んだ。