「なわけないっしょ。夢の中ってそんな」


「違うって言い切れるか? 夢を見てる時は、その世界が夢だなんて思わないだろ? 目が覚めて、初めて夢だって分かるんだ」


……いや、私は夢の中でも「あ、これは夢だ」って分かる事あるんだけど。


「まあ、留美子が分かるように例えたから、本当は夢ってわけじゃないんだけどな」


じゃあ何なんだよ。


なんてツッコミは入れないでおこう。


「留美子、これから俺が何を話しても信じるか?」


やっと本題に入るのかと、私は小さく何度もうなずいた。


健司が何を言い出しても、妙な話が多すぎて不思議には思わないだろう。


どの話がどこまで本当なのか、嘘なのかが分からないから、驚きようがない。


「小野山が言ってたんだけど、俺達のカラダが全部集まらなかったら、どうなるか知ってるか?」


「それって、失敗の時だよね? やっぱり私達は死ぬんじゃないの?」


「いや……死ぬのはカラダが集まらなかった奴だけだろ。カラダが全部そろった奴は死なないんじゃないか?」