「健司、結局何が言いたいわけ? 私は頭悪いんだからさ、分かるように言ってよね」
美雪や健司だったらそれでも分かるかもしれないけど、私には理解するなんて無理だ。
考えながら歩いていると、隣にいた健司が立ち止まり、私の後方で立ち尽くしていたのだ。
「小野山美紗は……赤い人の姉さんの記憶を持ってるらしいんだ」
それが何を意味しているのか、私には理解する事ができなかった。
生産棟に入ってすぐにある階段に腰を下ろし、健司の理解し難い話を聞く事になった。
「小野山美紗の話だと、今俺達がいる世界は本当の世界じゃないらしい」
別の世界だってのは聞いたけど、その辺りの事は私には分からない。
「うん、ぜんっぜん話が分からないんだけど」
「まあそうだろうな。じゃあ、夢の中だって言えば分かるか」
あー、なるほどね。
夢の世界で、私達は赤い人に毎日2回殺されてるんだね。
……納得できるか!
すっごく痛いんだよ?
こんなリアルな感覚がある夢なんて、あってたまるかっつーの。