「実羽、なにやった? ここ、日本人くるとこ違う」

「私は・・・」

そこまで言って、私は言葉を失った。
メオを助けるためやったことが、ウアンの怒りを買った。

・・・相手がまずかったんだ。

後悔しても遅いけど、あのときはそうするしかなかったから。

答えない私に飽きたのか、アイスは本を開いて読み始めた。

長い沈黙の時間。

カウントダウンがはじまったんだ。
次にウアンが来たら、私は誰かに売られる?

ふと、私はアイスを見やる。

「アイスは、チューレンなの?」

タイ人はあだ名で呼び合う、って言ってたことを思い出したのだ。