あせる気持ちからか、ポケットから携帯を出すのがもたつく。

ようやく取り出すと、アプリを起動させ棚のようなものがある場所にケータイを置く。


ザッ


足音が聞こえ、振り向くとウアンが向かってくるのが見えた。

すぐに私は携帯を背にして立つ。

ニヤニヤしたウアンは何かボソボソと私に言ってくるが、わからないと首を振ると、
「OK OK」
とすぐそばまで近よってきた。

おじさん独特の匂いに顔をしかめそうになるけど、ここは我慢。

中学の時は演劇部だったんだからできるはず。


・・・セリフのある役はやった経験が少ないけど。