正輝に涙を見せないように横を向いた時、時計が目に入る。


23:50


「あと、10分・・・」

その言葉に、正輝はなにやら考え込むような顔をした。

「・・・正輝?」


「桜、ちょっと待ってて。すぐ戻るから」

そう言うと、急いで図書室から出て行ってしまう。

「え!?ウソでしょっ」

さっきまでの勇気はどこへやら。

不安と恐怖が襲ってくる。


急に月明かりが翳ったように思えた。