「今日、榊原と話してたでしょ?ちょうど聞いちゃったんだよね」
正輝はいたずらっぽく笑った。

「そうなんだ。だったら後でそう言ってよ。めちゃめちゃビビったんだから」

私が抗議すると、なぜか正輝は口をとがらせた。


月明かりがその表情を幼く映した。


「だって・・・。桜が榊原と仲良く話してたからさ、うれしさの反面、さみしくなっちゃったんだよね。そのまま教室に行っちゃった」

「えっ。な、仲良くしてたわけじゃないよ」

ああ、また顔が赤くなる。

暗闇で良かった。


「そうかなあ」