「知佳ちゃんの負け、タッチアウト」

守が背中にタッチすると、知佳は前につんのめった。

ろうそくの炎が目の前に迫った瞬間。


「ぎゃあああああ!!!!」


一瞬で知佳の体は炎に包まれた。

体中が熱い、熱い。

炎の向こうで、守が知佳に手を振っている姿が見える。

「ああああああ!」

声にならない声も、喉が焼け、すぐに出なくなる。

のたうちまわりながら激しく燃える知佳。

燃えるたび小さくなる命の炎。



知佳は暗闇に包み込まれ、その火は消えた。