もう一度、携帯を見る。

「消えてよ、消えてよ!」

この文字が消えれば、また普通の町の風景に戻るはず。

画面を指で何度もさわり続ける亜矢音の足元に、なにかが見えた。


・・・え?


指の動きが止まる。


・・・汚れた上靴。


ゆっくりと携帯から視界をそらす。


土まみれの学生服のズボン。

ボタンがいくつか外れたシャツ。


これって・・・。

これって・・・。