コミックシーモア×noicomi×スタ文 特別座談会「新しい和風恋愛ファンタジーとは?」

《 募集テーマ 》

新しい和風恋愛ファンタジー

テーマについて

司会:早速ですがまずはテーマについて。今回「新しい和風恋愛ファンタジー」がテーマということですが、これはどういった意図でしょうか?


スターツA:はい。和風恋愛ファンタジーはジャンル化が進んでおり、王道がかなりハッキリしているように思っています。だからこそ、いい意味で読者の期待を裏切る、あるいは上回る、王道を更新する「新しさ」が欲しいなという想いで、こちらをテーマに据えさせて頂きました。


スターツB:そうですね。ただ、読者の方に読んで頂く上で、入口としてある程度の王道感は必要だなと思っており、その王道感と新しさのバランスが良い作品が読めると嬉しいです…!


司会:王道感とのバランスですか?


スターツA:究極は作品全体のバランスだと思うので、例が難しいですが…。すごく例えば、和風恋愛ファンタジーで、恋愛をしない作品は新しいですが、和風恋愛ファンタジーとは言えないですよね。もちろん、それはそれで魅力的な作品になる可能性もあるとは思います。ただ、恋愛を読みたい読者さんにとっては、新しさはあっても本末転倒なのかなと。


シーモアA:そうですよね。あと、恋愛というところは抑えていても、例えば、ヒロインが一方的にヒーローに好意があるけれど、ヒーローからの好意はほとんど向けられないという展開は、読者さん的にあんまり嬉しくないかもしれません。


シーモアB:その通りですね。もちろん、いずれのパターンも作品として面白くなる可能性はあるので、一概に上記の設定が必ずしもダメとか面白くないとかではないのですが、“恋愛“ストーリーとして楽しんでいただく上で、かなり難しくはなると思います。


司会:なるほど…。ただ一方で、読者の方に人気の定番設定を詰め込みすぎてしまうと、今度は“新しい“という部分が難しくなりますよね?


スターツA:その通りです。募集しておきながら恐縮なのですが、バランスがとても難しいと思っています…。


司会:では、どういう部分で新しさを出せばいいのでしょうか?何か想定されている部分はありますか?

新しさについて:多ジャンルの掛け合わせ

スターツB:まず考えたのが、別ジャンルでの人気設定とのかけ合わせです。西洋、異世界、後宮で人気の設定を和風と掛け合わせてみるなど?例えば、転生、ループ、悪女、成り上がりなど…。


司会:ちょっと言いよどんでいますが、それはダメなんですか?


スターツB:全然大歓迎なのですが、これもさっきの王道とのバランスが難しいなとは思います。


シーモアA:そもそも、和風と西洋は読者層も、求められているものも近いようで違いますもんね。


シーモアB:自分もそうだと思います。和風はどちらかというと、ヒロインがヒーローに救われる部分がストーリーラインの軸となる作品が多いですし、読者の方もそこを求めて買ってくださっている印象です。一方で西洋や異世界、後宮はヒロインの活躍、自己実現が軸となる作品が多い印象です。その結果的に恋愛がついてきて、そこを楽しめる。そんな展開を読者の方も好んでくださっているように思います。


司会:なので、そもそも読者層も、求められている面白さも違う中で、単純に設定だけ組み合わせても難しい。そういうことでしょうか?


シーモアB:おっしゃる通りです。だからこそ、それができる作品はすごいですし、ものすごいパワーがあると思います。誤解がないように言いたいのは、そういう作品を歓迎しないわけでは全くありません。むしろ、そういった難しさを超えてきてくれる作品が読めると嬉しいです。


スターツA:そうですね。王道感がなくても、突き抜けた作品は伝わりますもんね!

新しさについて:和風恋愛ファンタジーの中で

司会:ほかに想定されている形は在りますか?


スターツA:いちばんイメージが湧いたのは、和風の枠組みの中で新しさを出す形です。


司会:でも既存作品も多いし、難しいんじゃないんですか?


スターツA:和風恋愛って、基本的に“超どん底女性を超ハイスペ男性が救う”っていうストーリーラインが多いと思っているのですが、その中でも新しさを出せるのかなと…。一つ思うのは超どん底女子、どん底感についてです。


スターツB:わかります。「超どん底女子」ってわかりやすく虐げられる設定が多いですが、極論ですけど、虐げじゃなくてもどん底って作れると思うんです。“客観的に、その子がいかにどん底であるか”よりも、物語としては“主観的に、その本人にとってどれだけその状況が辛いのか”をしっかり見せてあげられれば、虐げられていなくても物語としては面白くなるのかなと。


スターツA:はい。主人公が姉から虐げられていて、ムチで打たれたり、ご飯も粗末なものしか出てこない…といった出来事として誰が見ても“超どん底“な虐げは、再現性が高く、読者の方もわかりやすいのですが、そうすると再現性が高いが故に、どうしても既視感がでてしまう。でも、“当人にとっていかにそれが辛いか“が描かれていれば、出来事自体はわかりやすい虐げじゃなくても、超どん底感は感じられるのではないかなと。

例えば『鬼の花嫁』(富樫じゅん/漫画・クレハ/原作・noicomi)のヒロインは、意外とそこまで虐げられていないなと。学校にも通っていて、バイトもしているし、ちょっと前まで恋人もいたし、愛してくれる祖父母もいて、親友もいて。でも家族の中での扱いが、いかに彼女にとって辛いものであるかみたいなところが、きちんと描かれているから、“超どん底”に見えると思うんです。


シーモアA:ヒロインに共感し、感情移入し、なんて辛いんだろうと応援したくなりますよね。


スターツA:なので、客観的な超どん底でなく、主観的な超どん底であれば、新しさって出せるんじゃないかなと思っています。ただ、あまりにも個人的な辛さだと、読者の方に共感してもらうように書くのが難しくなりますが…。そこもバランスだなと思います。


シーモアB:すごく例えばですが、ドラマ「私の夫と結婚して」(tvN)なども面白いですよね。余命僅かな主人公が、モラハラ旦那と、唯一の支えだった親友が浮気していたことに気づいてしまい…。別に物理的な暴力を受けているわけではないですが、自分の最後の砦だった親友にさえ裏切られるというところが、どん底感があって、だからこそそこからの逆転が気持ちよかったです。


司会:私も好きです!出来事だけのドラマチックさでなく、キャラクターの心情面でのドラマチックさを入れ込むことで、いわゆる虐げ以外でもヒロインのどん底感は出せるということですね。


シーモアA:逆にヒーローの差別化の方がちょっと難しいですよね。


スターツA:やはりヒーローなので、ハイスぺ男子の方が、救ってもらうという構図は成立しやすいですよね…。


シーモアB:でも世界観が変われば、新しいスペックも出せるじゃないですか?そこがファンタジーの強みなのかなと。いくらでもドラマチックにできる気がします。


シーモアA:例えば?


シーモアB:『鬼の花嫁』はあやかしと人間が共存している世界が舞台で、あやかしはタダでさえすごいのに、ヒーローは、その中でもトップオブザトップの“鬼“。これってファンタジーならではの、現実にはない超ハイスペですよね。


スターツA:確かに。


シーモアB:ファンタジーだと、今この世界にないハイスペックを作れるところが魅力なのかなと。スペックの高い低いって、その世界によって変わると思うんです。例えば、会社の中じゃ社長はハイスペックですけど、仮に無人島に飛ばされたら、その世界では若い体力のある男性の方がハイスペックじゃないですか。


スターツA:世界観とセットで考えると、新しいスペックが生まれるかもしれないですね!例えば、あやかしと人間がともに生きる世界の作品はたくさんありますが、共生できていない混沌とした世界。政府も権力も信用できない危険な世界。世の中に見捨てられたヒロインが、そんな混沌とした世界を裏から収める闇社会の大家の当主に見初められる…とか。その世界観の中でいかにヒーローの能力、血筋が重要視されるのか、すごい存在であるかを見せられれば、新しさは出せるかもしれないですね。

『鬼の花嫁』(富樫じゅん/漫画・クレハ/原作・noicomi)

電子書店としての“新しさ“

司会:スターツ出版側の所感が多くなってしまいましたが、コミックシーモアの皆様いかがでしょうか?


シーモアA:ファンタジーの良さって、普段じゃ絶対ありえないけど、ファンタジー世界だと結構すんなりと受け入れられる。それこそあやかしと人間の共生とか、現代社会で描かれたらあまりのめり込めなかったりするのが、ファンタジーっていうフィルターを挟むことで、この世界ではこれが決まりなんだっていう設定が、かなりスッと入ってくるのが、いいですよね。和風ファンタジーの世界は、現実世界でない設定も実現できるので、すごくやりようがいろいろありそうだなと思います。そういう意味で、和風恋愛ファンタジーっていうくくりの中でも、まだまだ余地はあるのかなと。


スターツA:多数の作品を販売されていると思うのですが、さっき話していた西洋向けで流行っている設定で、和風でもうまくいった設定ってありますか?


シーモアC:やっぱりさっき言っていたことと重複はしちゃうんですけど、和風ってイメージとして、大正時代とか、時代によって女性の地位が大前提に立っちゃうから、自己実現活躍系の一人様ヒロインの立ち位置が、アンマッチになる可能性もあるのかなと。ただ西洋ももともとは、控えめな女性像が多かった中で、お一人様ヒロインが自立して運命を切り開いてくストーリーができたのが新しかった。大正時代の女性が持っているイメージと違うキャラを出して、いかに読者にスッと受け入れられる設定にするかが難しいとは思いますが、そういうのが出てくれば最高ですね。裏切り、新しさは求めているけど、時代などの根柢のイメージには合うものが求められるのかなと思います。


スターツB:バランスですよね。


シーモアC:和風ってやっぱ日本人主人公じゃないですか。基本的に。でも、異世界とか西洋って、自分たちの生きている世界とは違う主人公像じゃないですか。ハリウッド映画みたいに、より俯瞰して楽しめると思うんですよね。和風ってどちらかというと自分に近い境遇のものが今は多くなっていると思うんですが、逆にその世界の中に全然違うキャラクターを入れ込めたら、作品の幅はめちゃくちゃ広がると思います。


シーモアB:舞台となる時代にマッチしつつも、その中での異物…驚きや逆説みたいなものが描けたらいい。最近売れているコミックではすごく感じる。


シーモアC:異色の作品で『大蛇に嫁いだ娘』(フシアシクモ/著・ビームコミックス)というのがあって…。ヒーローが人型になる作品のが多いけど、これは人型にはならない。ずっと蛇のままなのが新鮮。それでも大蛇の優しさに惹かれてヒロインとの恋愛が成立していく。こういう裏切りはあり。


スターツB:確かに驚きはありますね…。


シーモアA:この作品は広告でどんなシーンを推したんですか?


シーモアC:ヒロインの妊娠をにおわせるシーンですね。そこが広告的に結構当たりました。ときめきや恋愛より、どうなるのこの二人?ていう方が大きかったと思います。


シーモアB:確かに。どんな子供が産まれるんだろう…。


シーモアA:広告を見たユーザーさんの期待が、恋愛なのか、どんな展開になるのかのミステリー的な要素なのか、この辺がブレるとわかりずらくなる場合があるので、設定で新しくしようとするとそこが難しいところかなと思います。恋愛物として蛇と女性の漫画を描いても、たぶんドキドキしないんですよね。恋愛としてのドキドキはないから。


スターツB:これも一つの裏切りってことですね。お互いに分かり合えてない感じも、面白いなと思って。うちもやりがちですが、世の中のコミックって、すぐ好きになっちゃうとか、あっという間に距離が近くなっちゃって、すぐ救ってあげちゃうパターンも多いじゃないですか。番系の作品でも、番だからっていう理由でとかで、結構すぐ助けてくれたり。本質は案外知らないまま恋愛に進んでいく話も多い。描きすぎちゃうと間延びしちゃうんで、難しいなとは思いますが、みんな付き合ってからの話を読みたいのか、付き合うまでの話を読みたいのかとかっていうのも、永遠のテーマでずっと考えているところもありますね。


シーモアC:そうですね。広告で当たっているのは、すぐにくっつかない作品ですね。


シーモアB:読者からみたら、この二人絶対両想い!ってわかるのに、本人たちだけ気づいていないパターン、とか。


シーモアC:すれ違いとか、両片思い。あとは、別れるかもしれないってフラグが立ったままの作品も。

『拝啓見知らぬ旦那様、離婚していただきます』(紬いろと/著・久川航璃/原作・あいるむ/キャラクター原案・FLOS COMIC)は、くっついた状態だけど心はつながっていない。『おひとり様には慣れましたので。 婚約者放置中!』(晴田巡/漫画・荒瀬ヤヒロ/原作・comic LAKE)はヒロインがヒーローのことをどうでもよくなってしまっている。『元戦闘用奴隷ですが、助けてくれた竜人は番だそうです。』(早瀬黒絵/原作・城キイコ/漫画・マンガボックス)は、ヒーローがヒロインの少女に生きていく選択肢を与えようとするから、二人はくっつくんだろうけど、くっつかないっていう選択肢もあるのかもしれない。


スターツB:夫婦から始まる話もあり。心がつながっていない状態からの。


スターツC:補完関係はあるけど、愛はまだ生じてない…というところから、だんだん愛が生まれていく過程を見せるパターンですよね。最近はそういうストーリーも増えてきていますが、そうすると見せ場のシーンを作るのが難しかったりもするので、たとえば「初夜をするのかしないのか」みたいな引きを入れたりとか、何かしらお楽しみ的な引きは必要になると思います。


スターツB:初夜の直前でずっとタイムリープするとか。いつになったら初夜を迎えられるんだろう?って。


シーモアA:なんで戻っているのかみたいな謎解きだったっていう。


スターツB:出会い方を変えたらもしかしたら、乗り切れるんじゃないか…とか、試行錯誤してみたり。


スターツA:これも“裏切り“ですね。

新しさはなんでもアリではない

司会:今回、ずっと出てきているキーワードが“裏切り”ですよね。


シーモアB:でも、何でも裏切ればいいわけじゃない。


シーモアA:期待されている“大前提”は、絶対に守らないとダメ。


スターツB:大前提の裏切りは絶対にしちゃいけないなっていうところが統一かなと思っていて、その中でいかに話のキャラクターや、話の本筋で、どういう風に裏切るか。


シーモアA:裏切りは、読者の予想のつく範囲は外れちゃいけないと思っていて、その中でどう結果を変えるかとか、着地を変えるかとか、そういう動きになってくる。全く新しくなると、そもそも予想する型を作れなくなっちゃうから裏切れない。


シーモアB:裏切りはいいけど、違和感を与えたらダメなんですよね。納得ができないようなところがあると、入り込めない感がある。


スターツB:違うものになっちゃうんでね。映画でよくあったりするじゃないですか、大正時代で時代にそぐわない強い武器を持っていて、その世界を駆逐してみたいなものだとすると、たぶんすごくつまらなくて。


シーモアB:和風恋愛系の作品だと、ヒロインがヒーローに救われるのを期待して読むのもあるんですけど、逆にそこを裏切るのはどうなんでしょう。めっちゃハイスペなヒーローが出てきて、この人に救われるんだろうなって思っていたら、なんか違う展開。寄り道して違う展開があったり、そもそもそのヒーローに救われなくて、でもハッピーエンド…みたいな。


シーモアC:微妙かな…。大正時代というのが引っかかっていて。当時の女性の社会的な地位を前提に考えると、虐げられているヒロインをヒーローが救わないっていうのは、社会的にも見捨てられた感が出てくるかなって。


シーモアB:ヒーローに救われるまでの道筋で、予想外な展開があるといい。


シーモアA:難しいですね。虐げられている側の話が圧倒的に多いじゃないですか。虐げる側の話ってどうなんですかね。


スターツA:たとえば、それが誤解であるとか、相手のためにあえてやっているとか、そういう主人公に感情移入できる設定ならありかもしれないですね。

新しさが出せる部分。より具体的に

スターツB:あとは、怒りが人を動かすっていう部分での共通の敵の作り方とか。キャラクターをどれだけ立てられるかが一つのポイントかなと思っています。ヒロインが虐げられているのか否か、ヒーローが絶対的存在なのかどうか、その組み合わせによっても結構面白い設定感がだせるかもしれない。


シーモアC:シンデレラストーリーの王道は、わりと“ヒロインがいじめられる”っていうイメージがついてると思いますが、『鬼の花嫁』で言うと、柚子は両親の愛が欲しいっていうのが、冒頭から伝わってくるんですよ。両親の愛が欲しいから、花梨に対して嫉妬心はあったと思うんです。なのに花梨は両親の愛をいっぱいもらって、っていう対立構造ができる。ヒロインが何が欲しいかっていうのが読者に伝わってないと、不幸な状況はわからないと思うんです。ヒロイン設計で一番大事なのって、“欲しいもの”が分かることだと思っていて、ヒット作品はそこがしっかり描かれている。対してそれを手に入れられないから苦しい思いをしてたり…というのが伝わってくる。“欲しいもの”は多くの場合、愛情。両親の愛、認められること。広告で表現する時も説明が長いと難しくて、一コマで何が大事かとかがわかると強い。


シーモアB:確かに言葉がなくても伝わるコマってありますもんね。


シーモアC:ヒロインに共感してもらうためには、みんなが分かる“欲しいもの”がいい。『おひとり様には慣れましたので。 婚約者放置中!』も、婚約者からの愛情がもらえなかったから、独り立ち、自立する将来っていう“欲しいもの”ができた…とすれば、誰でもわかる。


シーモアB:なるほど。欲しいものが手に入れられなくても、別の欲しいものができてそれで満たされるっていうハッピーエンドも。


シーモアA:世界設定が複雑だと、一話がほぼ説明で終わっているものとかあって。単行本の冒頭としてはいいんですが、広告で当てるとなると、話が動いてないから難しい。


スターツC:愛が欲しいという状況になるには、やっぱり身近な、本当だったら絶対に愛をくれるはずの存在である家族からの虐げがあるというのは、多分すごく共感しやすくて分かりやすいところなんだろうな。


シーモアA:あるべきをどう裏切られているかが、怒りをつくるポイントになるという話も前あったと思うんですけど。まさに、両親からの愛がないっていうのがそれにあたる。


スターツB:上位からの虐げに加え、下位の人間からも虐げられることによって、より怒りが増幅されるっていうところもありますよね。


シーモアC:部下からいじめられるとか、先生だったら生徒からいじめられるって、悔しいもあるんですけど恥ずかしい思いもあって、そういうのも結構ポイントになってくるかなと思います。マイナスの感情が積み重なっていく。


スターツB:あと、ずっと思っていのが、強いセリフの存在。『傷モノの花嫁』(友麻碧/原作・藤丸豆ノ介/漫画・講談社)の「猿臭い」っていう言葉。本当に言われたらものすごいほど傷つく言葉だなと思っていて、そういうふうな、やっぱりワードが強いと結構印象に残りやすいですね。

キャラクターが言うセリフの強さ、その作品を象徴するような。「見つけた。俺の花嫁」みたいな、その作品を一言で思い出せる言葉があるといいし、そういうことを言うキャラクターを想像しながら書いてみるのもいいと思います。


シーモアB:短いパワーワードみたいな。


スターツB:そういう、傷つく、或いは救う言葉とか、何かしらそういう一つワードが強いシーンが生み出せると、結構予想外な展開になったりするし、作品にボリュームが出ると思う。

王道を守りながら、新しくするために

スターツB:王道の中で、守らなくちゃいけないところと、守らなくてもいいところがある。

  • スタートとゴールは読者が求めている大前提を守る
  • ストーリーラインやキャラクターなど、ゴールへの行きつき方でどう裏切るか

っていうのがポイント。心に残るセリフを言えるキャラクターの強さも大事。

スタートとゴールを変えてもいいけど、比較的難しい。あとは和風と言っても、別に大正時代である必要性もない。現代でも、“日本そのもの”でなく、“日本らしき場所“でもいい。


スターツA:ジャンル違いますけど、『日本三国』(松木 いっか/著・マンガワンコミックス)とか。未来の日本なんだけど、逆に明治・大正っぽくなってるとか。そうするとファンタジーになる。


スターツB:その世界を想像しにくいというのもある。例えば大正時代であれば、悲恋っていうイメージがあるけど、江戸時代、昭和の恋愛って言われても、ピンとこない。舞台設定を理解するまでにちょっと時間がかかる。


スターツA:『鬼の花嫁』は現代が舞台だから、そこはスムーズに入れる。


シーモアA:じゃない日本、今の日本じゃない日本っていうのもありですね。


スターツA:恋愛ファンタジーって、明治が多いですよね。


スターツB:明治・大正あたりが多いと。時代が大きく変わって、異文化入ってくる明治。財閥が入ってくると大正・昭和初期とか。あやかしがいて、刀があって、軍隊もあって。戦いを連想させるものがまだ残っている時代っていうのが扱いやすい。


スターツA:出会いからと救い方。基本的にやっぱり順序逆転だなと思っていて。普通と違う順番で恋愛が始まっていくみたいなところが結構王道で面白い部分だと思うんです。『鬼の花嫁』も本来恋愛して二人の気持ちが通じ合って花嫁になるはずなのにいきなり花嫁になっちゃいますし、『傷モノの花嫁』もしかりですよね。ただ愛されて結婚するだけじゃなくて理由があって、自分の身を守るためなのか誰かを救うためなのか。そういう出逢い方のバリエーションもあると嬉しいです。


スターツB:王道を信じた上で、キャラクター、出会い方、世界観、どこをどう裏切るか。どんな裏切りがあるのか、楽しみです。大小、様々な“新しさ”のある和風恋愛ファンタジーをお待ちしています!

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