
第1弾:2026年8月
書店員はなさん×BeLuck編集部特別座談会 新感覚BL大賞について
2部構成でお送りいたします。
編集A:皆さまお集まりいただきありがとうございます!
新感覚BL大賞開催にあたり、「新感覚BL」とはどういうことなのか、皆さまが好きな作品にも触れながら、編集部と書店員はなさんで話していきたいと思います!
一同:よろしくお願いいたしますー!!
新感覚の話題作『太郎 DON’T ESCAPE!』について

(C)『太郎 DON’T ESCAPE!』 mememe/著(シリーズ: iHertZ Series)
編集A:直近でいちばん話題になった作品ですよね。予測不能で、「良い意味で裏切られた」のがすごく面白くて。BLを普段読まない方々も楽しまれた作品だったんじゃないかなと思います。そんな「良い裏切り」がこもった作品がいっぱい集められるといいなと思っています。
書店員はな:そうですよね、いい意味で裏切られるのが良かったです⋯!
青春BLの難しさ
編集B:学生BLってできることがとても狭いイメージがあります。
書店員はな:ですよね。
編集B:王道展開の美形×平凡BLは、弊サイトでも特に人気の高いジャンルです。一方で、近年の弊コンテストでは、属性の掛け合わせのバリエーションがやや限られているようにも感じています。編集部としては、今後はより幅広い属性の組み合わせにも挑戦していただき、BLジャンルの広がりを一緒に育てていきたいと考えています。例えば、ビッチの受けがいたっていいんです。皆さまの癖がとにかく詰まった作品を見たいなと思っています。はなさんがこのBLは新しかったなっていう感覚の作品はありますか?
書店員はな:『タカラのびいどろ』はめちゃくちゃ思いました!他には『ロックンロール』も好き。めっちゃ新しいなって思いました。
編集A:私も大好きな作品です。学生BLってこんなに振り幅作れるんだって思うと可能性しかないですよね。
リアリティ

(C)『ロックンロール 上』 mememe/著(ミリオンコミックス/シリーズ:栞)

(C)『ロックンロール 下』 mememe/著(ミリオンコミックス/シリーズ:栞)
書店員はな:『ロックンロール』は男子高校生の日常みたいな空気感ですよね。距離感近い幼馴染ぐらいの感じが一気に急接近!みたいな。
編集B:たしかに、等身大感のあるアホ可愛い会話が詰まってましたよね。はなさんとしてはこういう友達同士のノリって、萌えたりしますか?
書店員はな:いいですよね、一緒の布団で寝ながら映画観てはしゃいでるとか、2人で寝落ちするまで動画観ながら話してるとか…。
編集B:やっぱりナチュラルさってすごく大切ですよね。こういう男子たちいたな、みたいな⋯。想像が膨らんで妄想が捗りますよね。
編集A:そうですね、こちらの作品は本当に会話が印象的で、漫画の発明があるなと思っています。大胆な吹き出しとか、写植とか。まだ漫画って進化できるんだって感動しました。
編集B:台詞もとてもストレートですよね。「バリ好き」とか。あと男子同士の告白ってこんなに文脈ないんだって思いました。雰囲気作りとか綺麗な夜景連れてって、ちょっと伏線引いといて、ロマンチックな場所で言うとかではなく、急にこんななんてことない場所で。
編集A:いちゃついてるのか喧嘩してんのかよく分からなくなるのもとっても良いです。
編集C:冗談とかノリで言えそうな感じで告白するこの感じが私はめっちゃ好きです。ノリの延長みたいな感じで恋愛してる空気感がすごく好き。
編集B:『タカラのびいどろ』はどこが好きでしたか?
書店員はな:まず方言が好きだなって思いました。
編集B:確かに。受けの子がすごく方言を使うんですよね。受けの喋り口調って作品に与える影響が大きいと思うんです。
はな:すごく印象に残りますよね。
編集B:「俺らは先輩の好きな人になれたとですか。」っていうところ。「なれましたか。」じゃなくて、「なれたとですか。」っていうのが、この必死な表情の上に乗せられていて、またグッときますよね。これはめっちゃいいですよね。
編集A:いつも作品の会議をする時に「これはBLである意味があるのか」というのが論点になるんです。例えば受けがヒロインっぽいムーブをしていないかとか。男子同士である意味がほしい。
はな:なるほど。
編集B:でも『タカラのびいどろ』は絶対に男子同士だからよかった。BLだからよかったんだって思います。そういう作品がやっぱりBLとして良いなと。『ロックンロール』も如実ですよね。

(C)大麦こあら『能美先輩の弁明』/光文社
編集C:『能美先輩の弁明』の能美先輩がそうですけど。ビッチ系ってBLだけの文化ですよね。ビッチヒロインなんてあんまり聞いたことない。
一同:確かに⋯!
編集B:能美先輩はビッチ受けとしての、ものすごい新しいところをついた感じがしますよね。ここに哲学を絡めるなんて⋯!
書店員はな:確かにチャラいのにちゃんとできるみたいな。
編集A:知能の高さに抗えないっていうの、めっちゃいいなって思って。はなさんは、どうでした?
書店員はな:能美先輩、最初読んだときに実はちょっと難しいなと思いました。でも2回、3回読むと、そういう気持ちだったのね⋯!と思いました。何度も読んで噛みしめるような面白さですよね。
編集A:確かに、この作品は読む度に面白い発見があります。最初2人がちょっと険悪な雰囲気だと思ったら、「俺の方が哲学を愛してる!」「こいつ可愛いじゃん」っていうまさかのリアクションがありました。良い意味での裏切りについて最初に話しましたが、別に展開だけではなくキャラが持っている感情の出し方がすごくお上手だなって思いました。こんな反応・表情するんだというのが、BLの質をすごく高めてる気がします。
編集B:お前こそ本当に俺のこと好きなの。っていう問いに対して、クール男子だと次もまたツンデレしてくるだろう!と思うのですが、そうではなく、真顔で「超好き」って言ってくる。ここはそんな素直なんだ!?みたいなとこがいいですよね。
BLというジャンルについて
編集A:今回は意外な展開、逆張りしているBLを求めているコンテストになるのですが⋯そもそもBLが好きな方って「いろいろな漫画を読んでるけどBLも読むよ!」という方がほとんどなのかなと思っています。そうなるといろんなキャラに触れ慣れてると思うんですよ。クール系とか脱力系とか、かしこい系とか。だからある程度、多分キャラがやることが想像できちゃうと思います。
編集B:そうですね。でもそうじゃない、想像を超えてくるような。本当にこのキャラだからにじみ出てきた、みたいなセリフが来たときに、めちゃくちゃ興奮します。このキャラが存在している!って思った時に、初めてその作家さんの性癖が見えて、キャラを人間として描こうとしているところを感じると、非常に引き込まれます。いろんな作品を読んできた方々は多分そういう刺激を求めてますよね、きっと。はなさんも最初からBLだけを読んでいたわけではないですよね。
書店員はな:そうですね。もう全然普通に漫画を読んでましたね⋯!
編集B:その中でBLもいいじゃんっていう…
書店員はな:そんな感じですね⋯!
編集C:それで言うと、読者の方々はドラマチックな展開を求めている訳ではなく、新鮮味のあるキャラクターやセリフを求めてるのかなとも思えますね。
書店員はな:確かにそれはありますね。まだこの設定のあったか⋯!みたいな。
青春BLの良さ

(C)『修学旅行で仲良くないグループに入りました』隠木鶉/著(BeLuck文庫)
編集B:BeLuckがライトBLのイメージが強すぎて、あえて恋愛面を描き切らないところも多いのかなと思ってます。お互いの人生に介入するところまで書いていいのだろうかという。でも本当は、そこまでグイグイきて良いのではと⋯!例えば『修学旅行で仲良くないグループに入りました』の渡会は、言ってることが結構ヘビーで。「俺なしじゃ生きていけなくなってほしい」っていう台詞があって、それって本当に執着攻めの究極だなって思います。人生ごと背負う覚悟があるという。
書店員はな:なるほど。
編集B:そういうところが見れると、一時の恋愛ではないって思えますよね。“学生ってどうせ別れるでしょ”みたいなイメージがあると思うのですが、そうじゃない、本当に添い遂げるつもりで、一緒に重荷を背負っていく覚悟とか。より相互の人生に介入していくのが、BLとしての深みに繋がってくのかなっていう気もしますよね。
編集A:普通付き合っていてそこまで思えないですよね。でもBLはそこまで見れるっていうのがすごくいいなと思っていて。夢があるなって。そこまで1人の人を想うというのが、すごく素敵ですよね。
現実離れしすぎると冷める?
書店員はな:現代BLにおいての話ですが、やっぱりキャラ設定が現実離れし過ぎてしまうと、ちょっと、すんってなっちゃうんすよね。攻めがもう超スーパー御曹司の大社長で…とか。
一同:なるほど。
書店員はな:すごい皇太子様でも、ファンタジーだったら全然オッケーなんです。でも現代ものでは、あまりにも現実離れしちゃうと、少し冷静になっちゃうんすよね。そのギリギリのラインがめっちゃ難しいなと思っています。
編集B:難しいですよね。BeLuckは、やっぱり現実で本当にいるかも⋯?というのを感じさせてくれるのが一応テーマではあるので。その範囲で新鮮味を出すっていう、非常に難しいことを求めているコンテストだと思います。
編集A:確かに、今はなさんが仰ってくださったような御曹司系や、TLのヒーローみたいな攻めは青春BLだと少し行き過ぎな印象がありますね。
編集B:うちのレーベルでは、そこまでいってしまうと想像がしにくいかもしれないですね。
編集C:等身大から離れてしまいますね。
書店員はな:例えば、高校生同士で好きになって、ある日同棲始めましたみたいな。さすがにそれはないかも⋯⁉高校生で⁉という…。
編集C:高校生で1人暮らしはなかなかハードルが高いですね。
編集A:学生寮とかだったらまだ良いかもですね⋯⁉
編集B:現代BLだと思っていたのに、非日常みたいな世界が入ってくると、一気に作り物になってしまう感覚ですかね。
書店員はな:いやでも、やっぱり、ぎりぎりを攻めてもらいたいです⋯!同棲はダメだけど寮はオッケーみたいな⋯!
書店員はなさんとBeLuck編集部がさらに語る!
座談会②もぜひご確認ください。
