雨香さんの作品一覧

二人の御子
雨香/著

総文字数/90,467

BL1ページ

「怖いけど尊い」青春ホラーBL大賞エントリー中
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ある冬の夜、神社の境内の石椅子に、その少年は座っていた。 コートも着ずに、霜の中で。整った顔の、何を考えているか読めない暗い目の少年。 「寒くないですか」と声をかけたところから、何かが始まった。 —— 日和神社の養嗣子・清澄は、神主の父と二人、山あいで暮らしている。境内の奥には、代々封印され続けている「何か」がある。父はそれを宥め、清澄もまた、いずれそれを引き継ぐ立場として、静かに育ってきた。 その日常に、コウが入ってきた。 滅ぼされた山間宗教の元「御子」。施設は壊滅し、支援家庭に引き取られ、清澄と同じ高校に通うことになった、同い年の少年。 「また来ていいか」とコウは訊いた。 「いいよ」と清澄は答えた。 それからの冬は、二人にとって、たぶんずっと、ひとつの夜が続いていた——卵焼きを焼く台所。雪の降る境内。布団の中で交わす「うん」のやりとり。 しかし、コウの夜は、神社で完結しなかった。 ある夜から、コウは姿を消すようになる。翌朝、清澄は、それに気づき始める。
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