英 志雨さんの作品一覧

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まだ足が二本あった頃、人魚姫の話は〝契約違反をしたら落とし前をつけなければいけない〟という教訓話だと思っていた――。 月島マリ、十五歳。 五歳の頃に骨肉腫で左足を切断して以降、義足も使わずに車椅子生活を続けている変わり者。 嫌いなもの、憐れみの視線を向けたり、自分を使って〝いい人〟を演じようとする人。 そんなマリは、自分のことを人魚姫の生まれ変わりではないかと疑っている。 だって人魚姫は、借金をしてまで両の足を手に入れたのに、お代も支払わずに泡となって消えたから。 きっと生まれ変わった自分にそのつけが回ってきて、利息を支払うために、与えられた足うちの一本を返品しなければならなかったのだ――。
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