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作品一覧
あなたの世界にいた私
千夏
/著
総文字数/0
青春・恋愛
0ページ
0
#恋愛
#病気
#高校生
#夢
#切ない
#約束
#別れ
#余命
#泣ける
#初恋
表紙を見る
“拝啓 西宮雪斗様” そう書かれていた紙に、 続きの言葉はなく、 ぐちゃぐちゃに丸められていた。 他人事のように言っているが、 これを書いたのも、 ぐちゃぐちゃに丸めたのも私だ。 そして、その紙をまた丁寧に広げ、 ペンを握ったのも私だ。 “今、一番伝えたいことがあります。” 震える手で、一文字一文字丁寧に書いていく。 文字を書いていくにつれ、視界が滲む。 瞬きをすれば、 それと同時に紙を濡らしてしまう。 でもね、私は胸を張って言える。 悲しいから泣いたわけじゃない。 苦しいから泣いたわけでもない。 それだけは、 あなたに知っておいてほしかった。 “そして、最後に、 私はずっと嘘をついていました” “私は、あなたのことが、 雪斗くんのことが、 ファンとしてではなく、 大好きでした。” そう書き終えてペンを置き、 雪斗くんの笑顔を思い浮かべ、 いつものように眠りにつく。 「雪乃」 どこから聞こえてきたのかは、 分からなかった。 ただ、 その声は私の大好きな声だった。 その声を聞くだけで、 優しさに包み込まれたみたいに、 心がポカポカした。 そんな声で名前を呼ばれ、 嬉しくて、 安心して、 私は深い深い眠りについた。 “雪斗くん 私に、生きる希望を与えてくれて、 ありがとう。” 藍原雪乃
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