君はSSS賞

 スーパーで今日の晩飯の買い物をしていると、晴(はる)がレジに立っていた。

「お、世那。珍しいな」
「ちゃんと働いてるか見に来た」
「俺に会いたかったからだろ?」
「だる! 早く会計しろよ」

 いつもの調子で軽口を叩き合いながら、晴はレジの机に『CLOSE』の札を立てた。素早くレジを済ませた晴は、俺が自動会計機で精算している最中に、声をかけてきた。

「俺、休憩行くわ。ちょっと待ってて」
「オッケー」

 晴は隣のレジのおばさまに、「僕、休憩行ってきますね」と声をかけて、レジの中から出てきた。

 スーパーの出口へ続く通路を無言で歩き、非常階段に着いたとき、晴が口を開いた。

「てか、例の可愛い男子高校生、最近会った?」
「りっちゃんね。昨日、俺の家でタコパした」
「は? もう家に呼んだの?」
「タコパくらいするだろ」
「……お前、手出してないだろうな」
「出してねーよ」

 そんなに信用ないか、俺。

「……でも、マジで好き」

 口にすると、なんか急に照れた。

「うわ、顔。キモ」
「うるせーよ」

 晴が呆れたように笑う。

 りっちゃんと初めて会ったのは、俺のバイト先のコンビニだった。

 一番くじの景品を見て目を輝かせていた姿が、妙に印象に残っている。話してみれば素直で、反応がいちいち可愛くて。つい構いたくなった。

 最初は、本当にそれだけだった。

 りっちゃん、と呼ぶようになったのも自然な流れだった。呼ぶたびにちょっと嬉しそうな顔をするから、こっちまで嬉しくなった。

 俺は昔から、人と仲良くなるのが得意だった。だから、りっちゃんともすぐに打ち解けた。

 ……でも、いつからだろう。

 会えたら嬉しい。話せたらもっと嬉しい。何かあれば、真っ先に教えてほしい。

 そんなふうに思うようになったのは。

 昨日のタコパだってそうだ。

 りっちゃんが高校生なのは分かっている。だから、自分にブレーキをかけるつもりで、『弟みたいで可愛い』と口にした。本当は弟みたいだなんて、ミリも思ってなかった。

「で? 告んの?」

 晴の声に、我に返る。

「告んねーよ。相手、高校生だぞ」
「お前が待ってる間に、他に取られたらどうすんの?」
「……それは困る」

 晴が一瞬、目を丸くする。

「うわ、マジじゃん」
「うるせー」

 自分でも、こんなに誰かを好きになるとは思っていなかった。
 でも、焦らせたくはない。

 りっちゃんが自分の気持ちとちゃんと向き合ってから、伝えてくれたらいい。

 ……まあ、できれば早めに。

 俺だって、いつまでも余裕でいられるわけじゃないし。