君はSSS賞

 ——びくびく。
 話したいことって、一体……?

 日曜日、世那くんと大型アミューズメント施設に来た。ゲームコーナーは賑わっていて、あちこちからクレーンゲームの音が聞こえてくる。

 お目当てのフィギュアがあるクレーンゲームの台を探していると、「世那!」と呼ぶ声がした。

 声の方を見ると、あの、スーパーのイケメン店員さんだった。
 莉子ちゃんは『名当て馬役』なんて言ってたけど、改めて見るとかっこよすぎて、僕のほうこそ当て馬役なんじゃないかと思えてくる。
 せっかくのゲーセンデートなのに……。

「おー、晴。何してんの?」
「彼女とカラオケ。早く着いたからぶらぶらしてた。……こんにちは。世那と同じ学科の晴です」

 晴さんは、僕にも挨拶をしてくれた。

「……あっ、こんにちは。律です」
「あーー、君がりっちゃん。話、聞いてます」
 と言って、世那くんの顔をちらっと見てから僕に微笑んだ。

「お前は余計なことばっかり言う。じゃあ、彼女とカラオケ楽しんで」

 世那くんは少し冷たい声でそう言い、晴さんを追い払うように手を振った。

 彼女と、ってことは、ただの同級生だったんだ。
 はーーー、よかった……。
 安心した途端、足の力がふっと抜けて、よろけてしまった。

 世那くんは咄嗟に僕を抱きとめて、
「りっちゃん? どうした?」と声をかけてくれた。

 晴さんと話しているときとは全く違う声色だった。……優しくて、甘かった。
 世那くんにとって僕は友達とは違う存在なのかもしれない、と思ってしまった。弟、でもない気がするのは、僕の期待のせいかな。

「大丈夫です。ありがとうございます。フィギュア探しましょ」と言って、僕たちは再び探し始めた。

 世那くんが欲しいって言ってたフィギュアは、お互いが一番好きなキャラのものだった。一番くじのとは違うポーズで、こっちもかっこよかった。

「これ、めっちゃかっこいい!」
「でしょ? よっしゃ! 絶対ゲットする」
 と世那くんは意気込んで、コインを投入した。

 ……世那くん、一体いくらつぎ込んだんだろう。
 何度も何度も二人でチャレンジして、やっと取れた瞬間、嬉しすぎて抱き合い、飛び跳ねてしまった。

 世那くんはハッとしたように、
「……あ、ごめん。テンション上がっちゃって」
 と言い、すぐに身体を離した。

 そんなすぐ離れないでよ、寂しいよ。

「りっちゃん、まだ時間ある? ちょっと話したいことあって」

 世那くんは神妙な面持ちでそう言った。
 楽しい話じゃないんだろうなと察して、内心かなりびくびくしていた。

 僕たちは近くのカフェへ移動することにした。